ブローカーを選ぶ際は、取引コスト、約定品質、取引プラットフォームの柔軟性、取扱市場、口座保護のバランスを見る必要があります。複数の規制法人を通じてサービスを提供するブローカーでは、こうした条件が法人ごとに大きく異なる場合があります。IC Marketsもその一例で、グローバルブランドはICへ移行しつつありますが、実際の口座条件は契約法人や居住地域によって異なります。
IC Marketsとは?会社概要
IC Marketsは2007年にオーストラリアのシドニーで設立され、ロースプレッド方式、低遅延の取引インフラ、外部取引プラットフォームを中心に事業を展開してきました。2026年には、グローバルブランドがIC Marketsからより簡潔なICへ移行し始め、ic.comドメインも使用されています。一方、一部の地域法人では引き続きIC Marketsの名称が使われています。
現在のグローバルサイトでは、外国為替、商品、株式、指数、債券、暗号資産、先物CFDを含む2,850以上の銘柄を取り扱っています。また、セーシェル、オーストラリア、キプロス、ケニアでそれぞれ規制法人を通じて事業を行っています。利用者にとって重要なのはブランドロゴではなく、口座契約書に記載される実際の契約会社です。
IC Marketsは合法で安全?
IC Marketsには複数の正式な規制法人がありますが、利用できる保護制度はすべて同じではありません。口座を実際に管理する会社を確認し、その法人に適用されるライセンス、レバレッジ制限、顧客保護制度を確認することが重要です。
IC Marketsの規制
グローバル向けのICおよびIC Markets GlobalブランドはRaw Trading Ltdが運営しています。同社はセーシェル金融サービス庁の規制を受け、証券ディーラーライセンスSD018を保有しています。オーストラリアではInternational Capital Markets Pty LtdがASICライセンス335692のもとで運営されています。IC Markets (EU) LtdはCySECのライセンス362/18、IC Markets (KE) Limitedはケニア資本市場庁のライセンス199のもとで規制されています。
この仕組みにより、IC Marketsは複数の法域で規制を受けていますが、すべての顧客に同じ条件が適用されるわけではありません。例えば、オーストラリアおよびEU法人の個人顧客向け最大レバレッジは1:30ですが、セーシェル法人のグローバルサイトではこれを大きく上回るレバレッジが提供されています。つまり、契約法人によって取引条件と顧客保護の両方が変わります。
顧客資金はどのように保護される?
Raw Trading Ltdは、顧客資金を主要金融機関の分別口座で管理し、会社の運営費用には使用しないとしています。オーストラリア法人も顧客資金を分別された顧客信託口座で管理しています。EU法人についても、顧客資金管理規則に基づき、顧客資金と会社資金を分けて管理しています。
分別管理以外の保護内容は、法人と顧客区分によって異なります。条件を満たすEUの個人顧客は、キプロス投資家補償基金により最大20,000ユーロまで補償される場合があり、マイナス残高保護も適用されます。オーストラリアの個人CFD顧客にもマイナス残高保護があります。一方、Raw Trading Ltdのグローバル向けリスク開示では、状況によって損失が入金額を上回る可能性があるとされています。そのため、EUやオーストラリア法人の保護制度がグローバル口座にも適用されるとは限りません。
利用制限のある国・地域
Raw Trading Ltdのグローバルサイトでは、米国、カナダ、ニュージーランド、イラン、北朝鮮の居住者を受け付けていません。また、現地法でサービス提供が認められていない地域にも提供していません。各地域法人にはそれぞれ異なるサービス対象があります。オーストラリア法人はオーストラリア居住者を対象としており、EUサイトではブラジル、ベルギー、英国、米国の居住者を受け付けていません。
IC Marketsの手数料と取引コスト
IC Marketsでは、スプレッドに取引コストを含める方式と、狭いスプレッドに別途手数料を組み合わせるロースプレッド方式の両方が用意されています。どちらが適しているかは、シンプルな料金体系を重視するか、手数料を支払ってより狭い提示スプレッドを利用したいかによって変わります。
スプレッド、取引手数料、スワップ
グローバルサイトのMetaTraderロースプレッド口座では、スプレッドは0.0ピップから、EUR/USDの平均スプレッドは0.1ピップです。取引手数料は1標準ロットあたり片道3.50米ドルで、往復では7米ドルです。スタンダード口座では別途取引手数料がかからず、スプレッドは0.8ピップからとなっています。取引回数が多い利用者にとっては、ロースプレッド口座のほうがコストを分けて把握しやすく、スタンダード口座では多くのコストがスプレッドに含まれます。
新しい口座案内ページでは、先行提供段階のRaw ProおよびRaw Pro+口座も掲載されています。MetaTraderでの手数料は、それぞれ1標準ロット片道1.50米ドルと1.00米ドルですが、最低入金額はそれぞれ5,000米ドルと100,000米ドルです。そのため、より大きな資金や取引量を持ち、低いロット単位手数料を活用できる利用者向けの口座といえます。
スワップは銘柄と売買方向によって異なります。現在のグローバル向け条件では、外国為替、貴金属、債券、商品CFDは水曜日に3日分、エネルギー、指数、暗号資産は金曜日に3日分のスワップが適用されます。実際の買い・売りスワップは取引プラットフォーム上で確認できるため、変動する可能性のある固定表示の数値よりも実用的です。
取引以外の手数料
グローバル向けヘルプセンターによると、ICでは口座維持に伴う休眠手数料はかかりません。また、現在の外国為替関連ページでは、銀行振込やカードによる入出金について、IC側の手数料は通常かからないと案内されています。ただし、銀行や決済事業者によって別途費用が発生する場合があるため、実際の費用は顧客ページに表示される方法ごとに確認する必要があります。
最低入金額については、口座開設前に確認したほうがよい点があります。グローバルの口座概要ページでは、スタンダード口座と主要ロースプレッド口座の最低入金額が0米ドルと表示されています。一方、別の公式外国為替FAQでは、200米ドルを入金するとすべての市場へアクセスできると説明されています。そのため、実際の申込画面に表示される条件を確認するのが確実で、どちらか一方の金額がすべての地域や申込経路に共通するとは限りません。
IC Marketsの取引プラットフォーム
取引プラットフォームの選択肢が多い点は、IC Marketsの実用的な特徴の一つです。独自プラットフォームだけに限定されず、現在のグローバルサービスではMetaTrader 4、MetaTrader 5、cTrader、TradingViewを利用できます。デスクトップ、ウェブ、モバイルへの対応状況はプラットフォームによって異なります。
MT4とMT5は、EAやMQL環境を利用する自動売買ユーザーに適しています。ICのMetaTraderサーバーはEquinix NY4データセンターに設置されており、Trading Central、Autochartist、MultiTerminalなどのツールも利用できます。cTraderではC#を利用した自動売買環境やコピートレード機能を利用でき、TradingViewではブラウザ上のチャート、価格アラート、コミュニティ指標を活用できます。
プラットフォーム選択時には一つ注意点があります。現在、グローバルサイトでTradingViewを使って取引できるのはcTraderロースプレッド口座に限られています。先に口座タイプを選んでから利用したいプラットフォームを確認すると、不要な制限が生じる場合があります。そのため、先に利用するプラットフォームを決め、その後に対応口座を選ぶほうが合理的です。
IC Marketsの取引条件
取扱市場と商品:ICのグローバルサイトでは現在、外国為替、商品、株式CFD、指数、債券、暗号資産、先物CFDを含む2,850以上の銘柄を取り扱っています。このうち株式CFDは2,100銘柄以上です。一つの取引環境で複数のCFD資産を取引したい利用者にとっては、資産クラスごとに別口座を用意する必要を減らせる商品構成です。
レバレッジと証拠金:最大レバレッジは法人と商品によって大きく異なります。セーシェル法人のグローバルサイトでは最大1:5000が案内されていますが、一部の商品やプラットフォームではより低い上限が設定されています。EUとオーストラリアの個人向け口座では主要外国為替の上限が1:30、ケニア法人では最大1:400です。そのため、一つの地域サイトに表示されるレバレッジを、他のIC Markets法人の口座にもそのまま当てはめることはできません。
注文執行:ICは自社をCFD商品の発行者と位置付け、保有ライセンスによりマーケットメイク業務を行うことが認められていると説明しています。その一方で、ECN方式の価格形成を採用し、自社の取引勘定を運用せず、関連性のない流動性プロバイダーから価格を受け取るとしています。グローバル向けMetaTrader資料では、最大25の機関から価格を取得し、平均約定速度は40ミリ秒未満とされています。単純に「ECNブローカー」と表現するよりも、この説明のほうが実際の執行構造を正確に示しています。
IC Marketsの分析ツール、学習コンテンツ、サポート
IC Marketsでは、外部の分析ツールと自社の市場情報を組み合わせて提供しています。MetaTrader利用者はTrading CentralやAutochartistを利用でき、サイト上では市場分析、経済カレンダー、取引関連の最新情報も確認できます。外部の分析サービスだけに依存せず、取引環境の中で分析情報も確認したい利用者にとって使いやすい構成です。
学習コンテンツには動画教材や定期的なウェビナーがあり、市場分析、取引戦略、リスク管理、トレード心理などを扱っています。2026年のウェビナー日程には、英語、スペイン語、アラビア語、タイ語、中国語、インドネシア語のセッションが含まれており、英語のみの教育コンテンツよりも幅広い地域の利用者に対応しています。
グローバル向けカスタマーサポートは24時間365日対応で、ライブチャット、電話、メールを利用できます。サイトやアプリでは複数言語への対応も案内されています。また、自動売買ユーザー向けにVPSサービスも提供しており、外国為替と貴金属で月間15ロット以上を取引すると、Standard VPSのサポート対象となる条件を満たします。
IC Marketsはどんなトレーダーに向いている?
IC Marketsは、ロースプレッド、自動売買、専門的な取引プラットフォーム、ソーシャルトレード機能を実際に活用できる利用者との相性が良いブローカーです。最低スプレッドの数字だけではなく、これらの機能が自分の取引スタイルに合っているかどうかが重要になります。
スキャルピング・自動売買を行うトレーダー
IC Marketsは、スキャルピングや自動売買を行う利用者に適しています。スキャルピングと自動売買はいずれも明確に認められており、ロースプレッド口座ではスプレッドが0.0ピップから、MetaTraderではEAを利用できます。NY4のサーバー環境も低遅延での約定を意識した構成です。一定の取引量を満たせばVPSサポートも利用できるため、継続稼働が必要な自動売買戦略にも対応しやすくなっています。
コピートレード利用者
コピートレードでは、一つの閉じた仕組みに限定されず、複数の選択肢があります。グローバルサイトではIC Social、cTrader Copy、ZuluTrade、MyfxBook AutoTrade、Signal Startが案内されています。アプリを使ったソーシャルトレードと外部のストラテジーネットワークの両方から選べますが、実際の利用可否は法人、プラットフォーム、地域によって異なる場合があります。
初心者
初心者は、取引手数料のないスタンダード口座、デモ口座、動画教材、定期ウェビナーから始めることができます。ただし、IC Marketsの取引環境は、単一のシンプルなアプリだけを提供するブローカーよりも専門性が高めです。MetaTrader、cTrader、TradingViewの操作を学ぶ意欲があり、レバレッジや証拠金、法人ごとの口座条件の違いも理解したい初心者に向いています。
IC Marketsのメリット・デメリット
メリット
- ロースプレッド方式を選べる:主要なMetaTraderロースプレッド口座では、EUR/USDの平均スプレッドが0.1ピップ、取引手数料は1標準ロット片道3.50米ドルで、取引コストを把握しやすい料金体系です。
- 取引プラットフォームが豊富:MT4、MT5、cTrader、TradingViewを利用でき、裁量取引、自動売買、ウェブ取引など異なる取引スタイルに対応できます。
- 自動売買環境が充実:EA、C#による自動化環境、NY4インフラ、VPSサポートを利用でき、システムトレードを継続運用しやすい環境があります。
- CFD商品の選択肢が多い:グローバルサイトでは7つの主要カテゴリーにわたり2,850以上の銘柄を提供しており、一つの環境で複数市場を取引できます。
- 複数地域に規制法人がある:セーシェル、オーストラリア、キプロス、ケニアに規制法人があり、対象条件を満たす顧客には地域ごとに異なる運営体制が適用されます。
- 24時間365日のサポート:グローバルサービスでは、ライブチャット、電話、メールを通じた多言語サポートが提供されています。
デメリット
- 法人ごとに条件が異なる:セーシェル、オーストラリア、EU、ケニアではレバレッジや顧客保護の内容が異なるため、入金前に実際の契約会社を確認する必要があります。
- 外部プラットフォーム中心:主要な取引環境はMT4、MT5、cTrader、TradingViewで構成されているため、統一された独自デスクトッププラットフォームを求める利用者には合わない場合があります。
まとめ
IC Marketsは、ロースプレッド、実績のある外部取引プラットフォーム、自動売買、多様なCFD市場へのアクセスを重視するトレーダーに向いています。特にスキャルピング、EA、自動売買、コピートレードを利用する人との相性が良く、初心者はプラットフォームや証拠金の仕組みを理解するまで多少時間が必要になる場合があります。口座開設前には、申込画面に表示される契約法人を確認することが重要です。規制、レバレッジ、口座保護の内容は地域によって異なります。
編集方針の透明性:IC Marketsは提携ブローカーとして評価しています。本記事の事実情報は、IC/IC Marketsの公式ページ、法的開示資料、規制当局の登録情報をもとに確認しています。第三者のレビューサイトは、検索結果で一般的に扱われている論点を把握する目的に限って参照しています。
最終更新:2026年9月。



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