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ルンバ掃除機メーカーのアイロボット は、かつてアマゾン・ドット・コム の14億ドルの買収ターゲットであったが、水曜日、事業継続の可能性について懸念を示した。
同社の株価は午後の取引で30%以上下落し、パンデミック時代のピークからの数年間の下落を拡大させた。
「マクロ経済と関税関連の不確実性を考慮すると、アイロボット社が継続企業として事業を継続する能力にはかなりの疑問がある」とアイロボット社は声明で述べた。
この赤字企業は、パンデミックに煽られた需要に牽引され、2021年には35億6000万ドルの評価を受けていた。現在は2億ドル以下だ。
2024年12月28日に 終了した第4四半期の純損失は、前年の6360万ドルから7710万ドルに拡大した。同社の収益は第4四半期に44%減少した。
同社の手元資金は2023年の1億8510万ドルから2024年には1億3430万ドルに減少した。負債は2024年12月28日時点で2億6,000万ドルとなっている。
この掃除機メーカーは、低価格で高度な機能を提供するEcovacs Roboticsのような中国のライバルに追いつくのに苦労している。
同社は、最大の製品展開としてルンバの新モデル8機種を発表した翌日に、売却や債務の借り換えを含む選択肢を模索していると述べた。
2022年8月、アイロボットはアマゾンによる1株61ドルの買収に合意していた。この買収は同社にとって生命線であり、アマゾンのスマートホーム部門を強化する可能性があると見るアナリストもいた。
しかし、この合併に対する独占禁止法上の強い反対意見と、デバイスが収集する空間データに対するプライバシーの懸念により、昨年1月にこの取引は破談となった。
買収が白紙に戻されたことで、創業者のコリン・アングルは昨年1月にCEOを退任し、事業再生の専門知識を持つリーダーの方が同社に貢献する可能性があることを示唆した。
昨年5月、同社は (link)、ゲイリー・コーエンをCEOに任命し、再建の指揮を執らせた。
2023年、スマートフォンから半導体まで手掛ける中国の華為技術(ファーウェイ)は、ひっそりと主力スマホ「Mate 60 Pro」を発売した。静かな門出ながら、中国にとっては祝うに値する出来事だった。米国の制裁措置により、以前は手が届かないと考えられていた中国製半導体を搭載していたからだ。
先月末には、杭州を拠点とする新興企業DeepSeek(ディープシーク)が、米オープンAIやメタ・プラットフォームズ に匹敵する大規模な言語モデルを、その数分の1のコストで訓練したと発表し、中国の技術に対する驚きを誘ったばかりだ。
欧米諸国は中国におけるAIの進歩を抑えようと躍起だが、上記のような成果を見れば、中国は対処法を見つけ出していることが分かる。マッキンゼーの推計によると、AIは年間6兆ドルの経済効果が見込める可能性を秘めた分野だ。また習近平国家主席は、無人兵器やデータ処理などにおけるAI能力の開発を含め、人民解放軍を世界トップクラスの軍事力にすることに重点を置いている。その取り組みはまだ初期段階ではあるが、これまでの実績を見る限り、中国は西側諸国とほぼ肩を並べることができるかもしれない。
米国の歴代政権と同盟国は、中国における半導体とAIの進歩を安全保障上のリスクとみなし、投資と貿易面で制限を課してきた。直近の打撃は今月初め、米政府がAIデータセンター用の先進的な画像処理装置(GPU)の流通を制限したことだ。これは、中国が第三国を通じて米エヌビディア の貴重なキットを入手するのを阻止することが、目的の一つだと見られる。
長年にわたり猛攻撃に遇ってきた中国は、補助金、研究助成金、減税、低金利の銀行融資などを通じて数十億ドルを国内の優良企業に注ぎ込むことで対応してきた。ファーウェイは先進的な半導体で先頭を走っている。同社は2023年の売上高1000億ドルの約4分の1を研究開発に費やした。米国のアルファベット 、メタ、アマゾン・ドット・コム 、マイクロソフト では、この比率が11―19%だ。
しかし、ファーウェイだけにはとどまらない。エヌビディアの最上級GPUが中国で品薄になっているのを背景に、寒武紀科技(カンブリコン・テクノロジーズ) など他の中国企業がその穴を埋めようと競い合っている。シティグループのアナリストは、エヌビディアの中国におけるシェアが2024年の80%から25年には50%に落ちると推計している。
バーンスタインのアナリストによると、カンブリコンの売上高は今年、2倍以上の43億元(5億8700万ドル)に増える見通しだ。十分な資金と国家の支援を得た中国の半導体設計企業によって、エヌビディア製半導体の不足は打開できると期待されている。
もう一つの重要な戦場は半導体の製造であり、この分野では台湾積体電路製造(TSMC) やオランダのASML など西側の企業が支配的な立場にある。しかし中国の中芯国際集成電路製造(SMIC) は、この分野でいくつかの重要な勝利を収めており、その一つが、ファーウェイのスマホ用プロセッサ2023の量産だ。その後、進歩が鈍化しているのは事実で、その一因はTSMCが最先端の2ナノメートルの半導体製造に使用しているASMLの最新型回路印刷装置へのアクセスが制限されていることにある。
しかし中国企業は、この制約に適応している。例えばファーウェイはSMICの製造能力に適合させるため、AIプロセッサの再設計に4年以上を費やした。その他の対処法としては、処理能力の低いプロセッサをグループ化する「クラスタリング」や、より小規模なデータセットを使ったモデルの訓練などが挙げられる。ソフトウエア開発者も、電力効率を最大限に高めるためにアルゴリズムを微調整しており、企業は訓練済みのモデルを迅速に展開して、より初期の段階で回答を生成するようにしている。
その結果は目覚ましいもので、中国と米国のAIに大きな格差があることを示す証拠はほとんど見られない。電子商取引(EC)大手アリババ の大規模言語モデル「Qwen」 は、世界トップクラスのオープンソース製品に数えられる。一方、ソーシャルメディア大手、騰訊控股(テンセント) のソフトウエアは、一部の指標ではメタの「Llama 3.1」を上回る性能を示している。世界的な競争力を持つDeepSeekのモデルは、最も費用対効果の高いモデルの一つと見られる。同社は、わずか600万ドルで2カ月間訓練してこのモデルを構築したと説明している。
AIの導入においても、中国は順調なようだ。米国の分析ソフトウエア会社SASとコールマン・パークス・リサーチが昨年、世界の産業意思決定者1600人を対象に実施した調査では、中国の回答者の83%が生成AIを使用していると回答しており、これは米国を含む16の国と地域の中で最も高い割合だった。TikTok(ティックトック)を運営する字節跳動(バイトダンス)、検索エンジンの百度 、フィンテックのアントグループなどは、いずれもAIを搭載したパーソナルアシスタントを展開しており、メール執筆や動画作成、タクシーの呼び出しなど、さまざまな機能がある。
アルファベットのルース・ポラット最高投資責任者(CIO)は今週のインタビューで「中国は基礎的な能力の普及という点で(中略)同等か、若干リードしている可能性さえある」と語った。これはAI処理を経済全体に広げる能力を指しており、多くの企業がデジタル化で遅れをとっている中国においては、特に期待の持てる評価だと言える。
情報技術イノベーション財団によると、中国は既に産業用ロボットの最大の市場となっており、世界全体の設置台数の半分以上を占めている。電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD) などは、高度に自動化された工場ラインにAIを導入することで、さらに生産を拡大できる可能性がある。
軍事用AIにおける中国の進展度合いは、これらに比べて判断が難しい。一部の安全保障アナリストは、中国の精密誘導ミサイルなどは米国の同等の兵器ほど洗練されていないとしている。理論上、性能の劣るハードウエアをAIシステムに統合しても、その影響は最小限にとどまるはずだ。
しかし兵器の格差は縮まる可能性がある。米国防総省が発表した中国軍に関する最新の報告書では、無人航空機システム(ドローン)が急速に進歩し、「米国の水準に匹敵した」とされている。中国の軍部はAIアプリケーションの開発でも進展しており、学術論文やアナリストの意見を引用したロイターの報道によると、社内モデルやメタのようなオープンソースのモデルを使用している。
長期的には、真の成果がもたらされるのはSMICがプロセッサ2023のような製造上の飛躍を再び成し遂げ、より小型で高性能な半導体の製造が可能になった時だろう。そうなれば、先進国による高性能ハードウエアの牙城は弱まる。中国政府が理論上、この問題に投じることができる資源に鑑みれば、こうした状況が現実化しないことに賭けるのは難しい。バイデン前米政権のレモンド商務長官は12月、中国の半導体の進歩を止めようとするのは「無駄足」だと語った。 AIについても同じことが言えるかもしれない。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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